いびき・睡眠時無呼吸診療センター

いびき・睡眠時無呼吸診療センターの概要

 当センターは医師(3名)、歯科医師(10名)、歯科技工士(3名)、歯科衛生士(1名)の総合的チームで構成され、睡眠時無呼吸症候群の検査・診断から治療まで一貫して行っております。

睡眠時無呼吸症候群とは

 アメリカのスリーマイル島原子炉事故、アラスカ沖タンカー座礁事故、日本での2003年の山陽新幹線の居眠り運転事故をご存じですか?このような大きな産業事故の要因として、睡眠中に呼吸が止まる閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、世間に広く知られるようになりました。この疾患は、睡眠中に上気道が狭窄して、窒息状態を何回も繰り返すことから、身体の疲労を回復する深い睡眠が取れず、昼間に異常な眠気に襲われることになります。この異常な眠気が大きな産業事故の原因や患者さんの日常生活に大きな問題を生じます。
 その症状として、大きなあるいは不規則なイビキ、起床時の頭痛、昼間の強い眠気などの自覚症状があります。この睡眠中の上気道の狭窄が、体の酸素濃度の低下をきたし、血液や心臓、脳といった酸素を多く必要とする組織や臓器などに障害を生じます。そのため、本疾患は高血圧、心臓循環障害、脳循環など生活習慣病や突然死などの要因として注目されています。現在、わが国では睡眠時無呼吸症候群の潜在患者さんは200万人いるともいわれています。
 またイビキは睡眠時に咽頭部が狭くなり、呼吸によって空気が通過する時の振動により発生する音で、騒音だけでなく呼吸系の多くの疾患の要因とされています。

 この病気の診断と治療は、呼吸器内科、循環器内科、耳鼻咽喉科、精神科などさまざまな分野にわたっております。このため、地域にある本疾患の治療センターをはじめ、本院の内科、耳鼻咽喉科などと連携をはかりながら治療にあたっています。この多岐にわたる症状をもつ患者さんの約20パーセント前後が歯科治療の適応症とされています。
そこで当院は歯科大学附属病院の利点を生かし、内科的治療のほかに口腔内装置を用いた保存的な治療を行っております。

誰でも睡眠時無呼吸症候群になる可能性があります。少しでも心配なことがございましたら、お気軽に【いびき・睡眠時無呼吸診療センター】を受診してください。

診療の流れ

睡眠時無呼吸症候群の検査と診断

 当センター内科にて問診、レントゲン写真撮影による骨格的な検査および睡眠検査(簡易型睡眠検査計およびポリソムノグラフィ検査)などを行い分析・診断します。

睡眠時無呼吸症候群の治療

 治療法は、おもに内科的な治療(CPAP療法や肥満治療など)と口腔内装置による治療があります。重症度、患者さんの希望を考慮して治療法を選択します。

CPAP(シーパップ)療法

 鼻マスクを装着し、閉塞・狭窄した気道に圧をかけて空気を送り込む装置を使用した治療法です。

口腔内装置による治療

  •  まず口腔内検査を行い、虫歯や歯周病などの疾患がないことを確認します。口腔内装置の使用にあたって問題がないと判断された後、歯列の型取りとかみ合せ(下あごの位置)の決定を行い、口腔内装置(右図)を作成します。

  • 右図は口腔内装置の装着前後のレントゲン写真です。赤色の矢印の部位が上気道の狭窄部です。口腔内装置を装着することで、下の顎が前方に保持され、気道が拡がるため、呼吸時の空気の通りが改善します。

受診に関するお願い

はじめての方も紹介状をお持ちの方も、
当センターを受診される際には事前に内科・外科外来(03-3261-5512)までご連絡をいただき予約をお取りいただくようお願いいたします。予約がない場合、診療に際して十分なお時間が取れなかったり、長時間お待たせすることがあります。