口腔リハビリテーション多摩クリニック
経腸栄養剤のとろみ付与の必要性

摂食嚥下障害を持つ患者さんは、低栄養のリスクが増大します。その理由は、1,一度に摂取可能な食事の量が減少する。2,摂取可能な食形態が制限される。 3, 摂食嚥下障害患者は、認知機能や身体機能の低下を示す者が多く、食事時間が制限される。ためです。低栄養であると、なぜいけないのでしょうか?第一には、低栄養は、免疫力の低下を招き肺炎などのリスクを高めます。第二には、低栄養によって筋力が低下し、さらなる嚥下障害を生むことがあります。以上のことから、摂食嚥下障害を無視して食事を続けた場合に、低栄養のリスクが高まり、肺炎等のリスクを高めることを知っておかなければなりません。
実際に在宅で暮らしている高齢者の多くで、低栄養状態が認められています。低栄養となった患者さんに対して、主治医より栄養剤が処方されたり、濃厚流動食品の購入が推奨されたりする場合もあります。それは、経管からの投与(管からの栄養)と経口からの摂取(口から食べる事)を目的としています。栄養剤や濃厚流動食品の多くは、流動性の高い飲み物である場合が多いのが実情です。嚥下障害を持つ患者さんにとって、さらさらの飲み物は最も誤嚥しやすく危険です。そこで、実際にこれらを飲む際には、栄養剤や食品の流動性や付着性を調整し、嚥下しやすい物性を持たせる必要があります。しかし、栄養剤や濃厚流動食のような,たんぱく質が多く含まれている飲み物の場合、とろみ調整食品の種類によっては多量に必要となる場合やとろみがつくのに時間を要する場合があります。最近では、これらの問題の解決を目標としたとろみ調整食品も多く市販されています。一方で、在宅で暮らされている患者さんの実態から考えると、数種類のとろみ調整食品を食品によって使い分けることに困難な場合も多く、普段の食事やお茶に対して使用している普段使いのとろみ調整食品を用いる方が現実的である場合があります。そこで、今回、各とろみ調整食品を用いて経腸栄養剤であるラコールNFとイノラス配合経腸用液に対するトロミ調整の効果を測定してみました。

本稿に示した添加量の目安は、あくまでも私どもが独自に行った結果を示したものである。患者さん個々に適したとろみの具合を鑑み臨床場面でこれらの目安を有効に利用していただきたいと願います。

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